あの世とこの世の話 佐藤愛子「冥途のお客」

冥途のお客アイキャッチ
えつ

こんにちは。スピリチュアル好きな管理人「えつ」です。
作家の佐藤愛子先生が自身の霊体験をつづった「冥途のお客」を
久しぶりに読み返しました。今年11月には101歳になられる愛子先生。
「この世よりあの世の友達の方が多くなった」とおっしゃる先生の
ユーモアと愛情あふれるエピソードをご紹介します。

1.御年100歳、佐藤愛子先生

まずは佐藤愛子先生のご紹介。
1923年生まれですから、すでに100歳を超えられています。
でも下の写真のようにお変わりなくお元気そうです。

直木賞(1969年)、女流文学賞(1979年)などを経て
2000年に「血脈」菊池寛賞を受賞されたのは記憶に新しいところ。
(…と言いつつ、すでに20年以上が経過してますね。)

作家の父「佐藤紅緑こうろく」と女優だった母。
異母兄で詩人の「サトウハチロー」やその他の兄たち。
エネルギッシュな佐藤家の人々の生きざまがテーマの作品でした。


私が愛子先生の作品にハマっていたのは高校時代です。
雑誌「non-no ノンノ」に連載された先生のエッセイ、「娘と私の~」シリーズ。
ずいぶん読みました。懐かしいです。

「白黒ハッキリ!」と鋭く突っ込んでいく愛子先生と
マイペースキャラの娘、響子さんとのコンビネーションが
なんとも言えず楽しい珍道中でした。

なすのごとく

それにしても、この頃の作品には「霊」の話題は無かったような。

そもそも「死ねば無になる」と考えていた愛子先生。
何がきっかけで「あの世」を意識されるようになったんでしょう。

2.霊に目覚めたきっかけ

事の発端は愛子先生が50歳の時。
北海道に山荘を建てて以来、数々の超常現象に見舞われました。
アヤシイ物音や物の紛失騒ぎが頻繁に。

どうやら、これは「霊」のしわざ!?
霊能者であり友人でもある、美輪明宏さん江原啓之さんの霊力を
借りながら、見えない存在に立ち向かう愛子先生。

音をたてる霊

愛子先生は、見えない霊の存在を「冥途のお客」と表現しました。

人間は「霊体質」という体質の人と、そうでない体質の人に二分されるという。
冥途のお客は何かしらそれなりのわけがあってこの世へ来ているのだが、
いくらうろうろしていても霊体質でない人にはそれが見えない(感じない)。
しかし霊体質の人にはすぐそれが見えるから、幽霊さわぎが起る。


佐藤愛子「冥途のお客~あの世とこの世~」より
見える人見えない人

自分には「見えない」から「存在しない」と決めつけるのではなく
「事情があって存在している何か」として受け止めるように。

3.いろいろなお客たち

ナゾの物音が続いたかと思えば、テレビが急についたり消えたり。
はたまた置いてあった物がとんでもない場所に移動。
これらの現象は「冥途のお客」からの合図だったのです!

えつ

彼らは何かのメッセージを伝えたいらしい。
でも変に同情したりはしない方がいいんだって。

その後も霊能者との出会いを重ねながら、愛子先生の霊体験は続きます。

ある時は江原啓之さんと、夜ごと騒音が鳴り響く町営住宅へ。
江原さんの霊視で、原因は戦国時代の足軽の霊集団であることがわかります。
彼らは合戦が終わったことに気付かないまま、戦いを続けていたのです。

リピートし続ける霊たち

江原さんによれば、亡くなって「あの世」に行きそこなった場合…
その時の想いを抱えながら、その場所にとどまり続ける」と。(汗)

えつ

亡くなった時の状態を永遠にリピート再生し続けるんだって。
怖すぎるぅ。


古びたお稲荷さんの前を通りかかった事がきっかけで、
狐の霊に憑依された女性の話もありました。

自分の耳にだけ聞こえる声が話しかけてくるように…
愛子先生はその話を「耳の中の声」という作品にしています。

ちなみに憑依を取り払うには力ずく?ではなく、
「きちんと霊を説得することが大切」なんだとか。

なすのごとく

納得した上で離れてもらわないと、また戻って来ちゃうんだって!

4.「あの世」の友と交流

愛子先生、ついには「あの世」の友人とも交流を。
作家仲間の遠藤周作先生とは、生前「あの世」談義で盛り上がり、
こんなやりとりがありました。

すると遠藤さんはこういった。
「そんなら君が先に死んで、死後の世界があったら、幽霊になって出て来て、
あった、というてくれ。オレが先に死んだら出て来て、あったと教えてやるから。」

佐藤愛子「冥途のお客~あの世からのプレゼント~」より

遠藤先生が亡くなったのは1996年の9月ですがその翌年、
生前の約束を果たしに愛子先生のもとへ…登場したんです!!

もちろん、江原さんの霊能通訳?を介して知るわけですが
「死後の世界はあった…だいたい君のいった通りだった…」という
コメントがあったそうです。

亡くなってから四十九日間いる場所が「幽現界」と呼ばれる世界。
その後は「幽界」へと進み、さらに「霊界」へ…
遠藤先生は「幽界」からはるばる来られたんだそうです。

5.さいごに

愛子先生は数々の霊体験から、とうとう達観されます。
それは…

死後の世界は確かにあるということ。死んでも尚、魂がしなければならぬ
使命があるということ。…(中略)何よりも私が得たものは死を怖れ悲しむ
気持ちがなくなったことである。勇んで死を迎えようという気持ちになった
ことである。

佐藤愛子「冥途のお客~あの世からのプレゼント」より

魂の存在は永遠であり、死はすべての終わりではない。
「この世」と呼んでいる世界へは「魂の修行」のために生まれて来る、
という考えです。

死生観
えつ

「この世」へは出張しに来ているだけってこと?
こんな死生観に触れてみたい方に。
「冥途のお客」をオススメします。

江原啓之さんとの心霊問答集あの世の話」も面白い一冊。

死後の世界について「どうして?」「なんで?」
あらゆる角度から愛子先生がバシバシと質問攻めに。
江原さんもバシバシ答えていますよ。(笑)

なすのごとく

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
また「スピ本」紹介しま~す。