唐招提寺と法隆寺で出会った「隅鬼」の謎!

隅鬼アイキャッチ
えつ

こんにちは。管理人の「えつ」です。今回は奈良の旅行中に出会った
「隅鬼すみおに」を紹介します。隅鬼は唐招提寺で屋根の軒下を支えて
いる鬼の木像なんですが、妙に気になる鬼たちなんですよ~。
これから奈良に行く予定のある方はぜひチェックしてからお出かけください。

1.唐招提寺の隅鬼

8月の猛暑の中、唐招提寺を参拝しました。
一通り見学した後、売店近くで発見した石像が「隅鬼すみおに」です。
四角い体で目は吊り上がり、大きく開いた口からはキバが…

隅鬼の石像

実はこの石像は「隅鬼」の模型です…
実際の隅鬼は高さ30cmほどの木製で、金堂の屋根の下にいます。
石像を見るまで気が付きませんでした。

下の写真、この辺りにいるんですが、ちょっと見えづらい感じ。
双眼鏡があればハッキリと見られる?
金堂の四隅にそれぞれ1人ずつ。4人で軒下を支えています。

唐招提寺金堂の隅鬼位置

お役目とは言え、この体勢は…
しんどいでしょうねぇ。

唐招提寺の隅鬼

体を丸め、低い体勢になって…
しかも正座ですよ!?
頭と肩の上に梁がのっかったまま、1200年もこの体勢!

チーム隅鬼は4人中、3人が奈良時代からのベテランメンバー。
残る1人は江戸時代から参入した「新人」らしいです。(笑)

それにしても、この隅鬼の顔を見て、つい思い出したのが…

男梅となすのごとく

そうです!ノーベル製菓の「男梅おとこうめ」のCMに出てくる
キャラ濃い目のこの人(梅?)
そっくりだと思いませんか?

あるいはゲームに出てくるこのキャラも…どこか隅鬼に似ているような?

隅鬼へのオマージュ

2.法隆寺にもいた隅鬼?

次の日に訪れた法隆寺、五重塔。
ここにも軒下で屋根を支える鬼たちがいました。
やはりお堂の四隅にそれぞれ1人ずついます。

金堂には龍や獅子らしき動物?もいて、にぎやかです。
かなり目立つ場所にいるので見やすいし。

法隆寺隅鬼の位置

法隆寺の鬼たちは江戸時代になってから屋根の補強のために
付け加えられたようです。
…ってことは唐招提寺チームの後輩なんですね。

隅鬼の写真


法隆寺では、鬼たちの表情やポーズもかなりハッキリと見ることができました。
皆さん、けっこう気合の入った顔つき。
くわっと目を見開いて踏ん張っています。

法隆寺の隅鬼
法隆寺の隅鬼たち


よ~く見ると、この鬼たちには2パターンあることがわかりました。

1つは口を閉じて手を上にあげているポーズ。(吽形うんぎょう
もう1つは口を開け、手は膝に置いているポーズ。(阿形あぎょう

お寺の門番、仁王像(阿形-吽形)みたいにペアを組んで
仕事をしているんでしょうか?

「えつ」のへたくそスケッチでもう一度検証します。

その① 手を上にあげて梁を支えるポーズ。
    口は開けずに、歯を食いしばっています。

図解隅鬼吽形


その② 口を開け、手は下げて膝に置いているパターン。
    肩と頭で梁を受けていて首がめりこんでいそう…
    唐招提寺の隅鬼と似たポーズです。

図解隅鬼阿形

手の上げっぱなしも疲れますが、こちらもかなり痛そう。
こんな弱音をはいているかどうかは…わかりません。(笑)

ここで足の動きにもちょっと注目。

唐招提寺の隅鬼は正座をしていましたが、法隆寺の鬼たちは足を開いて
膝は立てています。
座っているというよりはしゃがんでいる感じ?

このポーズの違いには何か意味が…?

3.鬼たちの役目は?

屋根を守る鬼…と言えば「鬼瓦おにがわら」もそうですね。
鬼瓦も「隅鬼」の一種なのかもしれません。
唐招提寺で撮った鬼瓦の写真。ペアで威嚇してます。

唐招提寺の鬼瓦

京都宇治で撮ったこの鬼瓦も迫力ありますよ。
(この顔を見ると、また「男梅」を思い出す)

鬼瓦

鬼たちの役割は魔除けや疫病封じでもあり、建物自体を補強する役目もあります。
鬼瓦には雨の侵入を防ぐ役割があるそうです。

「鬼」は一般的には怖くて悪い奴、みたいなイメージですが
こうして見ると健気に働く、ちょっと気になる存在でもあります。

えつ

顔は怖いんだけど、ひたすら任務をまっとうし続ける姿には、
なんだか感動する~。

こんな鬼もいますよ。

四天王してんのう」という仏法をお守りする役目の仏像チームがいます。
このカッコいいレンジャー部隊にいつも踏みつけられているのが…
足元にいる「邪鬼じゃき」の皆さん。

天に踏まれる邪鬼たち

このイラストのように、いつも足げにされているんですよね。
世の中に厄災をもたらす象徴として表現されるせいなのか
とにかくいつでも思いっきり踏みつけられています。

「悪いことをするとこういう目にあうぞ!」という戒め?
悪役?ながらポーズも表情もいろいろで、ついつい笑っちゃいます。
邪鬼の皆さんは「癒し」の役目も担ってる?

4.隅鬼が主人公の本「すみ鬼にげた」

実は唐招提寺の鬼たちもずっと「邪鬼じゃき」と呼ばれていたそうです。
でも「1200年も軒下を支えてくれているのに…邪鬼ってどうなの?」
という事になり「隅鬼すみおに」という名前が進呈されたんだとか。

そんな唐招提寺の「隅鬼」が主人公になった本があります。

すみ鬼にげた」 作:岩城範枝 絵:松村公嗣

2010年の読書感想文課題図書(小学校高学年向け)にも選ばれていた作品です。

江戸時代からの新メンバー、「西南」の方角担当の隅鬼が主人公の物語です。

実際、この鬼だけは作られた時代が違うせいなのか、3人のベテラン鬼たちとは
顔つき、雰囲気が違うんです…

ざっくり描くとこんな感じです。

隅鬼の顔の違い


ベテラン鬼たちのいかつい顔に対して…ちょっとゆるキャラ的な…?
おまけに、なぜか「前髪ぱっつん」みたいにもなっていて
初来日のビートルズを彷彿とさせるような風貌です。

どうしてこの鬼だけが他の3人とは違う姿になったのか…?
軒下から逃げ出して何をしたかった…?
ちょっと謎解きのようなストーリー展開です。

自分で望んだわけでもない役目に900年も耐えていた鬼。
ほっこりするような、ちょっとせつないお話でもありました。

やさしいタッチと色遣いの絵もすばらしく、大人も楽しめる本です。
機会があればぜひ手に取ってみてください。

5.まとめ

・唐招提寺、金堂の軒下には梁を支えている「隅鬼すみおに」がいます。
 高さ30cmほどの木像で、お堂の四隅に1人ずついます。
 ちょっと見えづらい場所にいます。双眼鏡があると便利?

・法隆寺、五重塔にも軒下を支える鬼がいます。
 こちらはかなり近くまで寄ってみることができます。
 唐招提寺の隅鬼との違いを見つけるのも楽しいですよ。

・鬼たちは魔除け、厄除けと同時に建物の補強の役割を与えられています。

・唐招提寺の隅鬼が主人公の絵本「すみ鬼にげた」はイメージがふくらむ
 一冊です。読んだ後にはきっと奈良に行きたくなりますよ。

えつ

唐招提寺と法隆寺にいる「隅鬼すみおにのことをご紹介しました。
怖い鬼だけど、どこかいとおしさも感じる隅鬼たち。
奈良にお出かけの際はぜひ、会いに行ってみてくださいね。

2件のコメント

ガイドツアーで、岩船寺三重塔の
隅鬼👹を観てファンになりました。
可愛いキャラクターになってティーシャツに
なっていて綺麗なブルーが気に入り購入
しました、山の麓にとうがあるので、目線で見うる鬼もいました、
また紹介して下さい

初めまして。コメントをいただき、ありがとうございます。岩船寺にも隅鬼くんがいるんですね!しかもキャラティーに!?貴重な情報をありがとうございます。岩船寺の隅鬼記事、成瀬さんがお書きになったのでしょうか?拝見しました。楽しい記事です。機会がありましたら岩船寺に行ってみようと思います。

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