
こんにちは。不思議なモノ好きな管理人の「えつ」です。
今、江戸時代に書かれた「人面草紙じんめんぞうし」という本にハマっています。「人面」という不思議キャラクターたちと江戸の風物詩を描いた本なんですがゆるキャラ的な人面が気に入って、とうとう絵描き唄まで作っちゃいました。
しばし江戸と令和のタイムトラベルにおつきあいください。
そもそも「人面草紙」とは?
人面との出会いは、友人からお土産にもらった、この手ぬぐいでした。
帯に「妖怪づくし」と書いてあり、広げると何やらあやしい白い顔のキャラクターたちでいっぱい。

これが人面。

え~、ナニコレ?
こういうの、大好きなんだけど~!(笑)
いったい誰がこの絵を描いたのか知りたくなってネット検索したところ、この本にたどり着きました。
表紙にドドンと「人面」の顔が。
このなぞキャラたちは、江戸時代の著述家、
斉藤月岑(さいとうげっしん)が作った
「人面草紙」という本に描かれていたことがわかりました。

江戸末期の文政10年(1827年)に作られた
この本、版画じゃなくて肉筆本です。
……つまり手書きだから……
一冊しかありません。
いったいどんな絵が?
下の写真は、宴会で盛り上がる人面たち。

景気よくバーッと遊んでいる感じで
楽しそうです。

すごいね。江戸時代の宴会ってなんかパワフル。
この本は貴重な史料でもあるんだね。
それにしても、このキャラクターたちは妖怪なの?
鬼や妖怪の姿をした人面も登場しますが、
どうも妖怪……というわけではなさそうです。
セリフも添えられているものの、ストーリー性はなく、江戸の年中行事や風物詩を記録した
絵日記のような本です。
作者の斉藤月岑は今で言えば、本の編集や
出版、エッセイストとして活動していた人なので、
誰が「人面」を描いたのかはナゾなんだとか。

江戸時代に、こんな面白いキャラクターを思いついた人がいたなんて。
誰が作者なのかわからない点も、ミステリアスで惹かれるなぁ。
人面の生態?
80ページほどもある「人面草紙」には、相当な数の人面たちが登場します。
どのページにもぎっしりと人面たちが描き込まれているので、全員で1,000人ぐらいはいそう?

子どもから大人まで。町人や武士、殿さま、力士、おいらん、どろぼう、幽霊や妖怪も。
全員が人面なのかと思うと、ふつうの人間も
混ざっているのが不思議なポイントです。
それにしても、人面のしもぶくれ顔はどこにルーツがあるんでしょう?
2つほど、推理してみました。
その① きのこ説:きのこのカサに
形が似ているから。
「きのこ」型?の人面が描かれているページがある!

これはきのこ、そのものですよね。
その② おもち説:本の中におだんごやおもちの絵が多く登場する
下の写真のように、顔の形が横や縦に広がっている人面もいる。
素材がおもちだから?

さらにいくつかの特徴をまとめてみました。
1.人面はおだんごが大好き
なぜかおだんごを持っている人面が
たくさん登場する。串にささったおだんごの数は、3つじゃなくて4つ。
2.おならをしている人面があちこちに出現
「くさくてゴメン」なんて言う人面も。
なんだか無邪気な感じ。
3.髪の毛がある人面、ない人面がいる
アンテナのように一本だけ立つヘアスタイルや
丸まげやちょんまげなど、バリエーションが豊富な髪型が見られる。
4.ほほの色付けがある人面、ない人面がいる
団体さんで登場する人面には色付けなし?
5.顔の表情はみんな同じように見える
その一方で、個々の人面の動きや服装の描写などは一人ずつこまかく描き分けられていて絵心というかアート性が感じられる。
私も真似して描いてみましたが、踊っていたり、動きのある絵はなかなかうまく描けません。
顔だけならなんとか描けそうだったので挑戦してみたのが下のイラストです。

人面絵描き唄を作る
すっかり人面推しになったので、普及活動のため?絵描き唄を作ることにしました。
まあ、ノリなので……即興というか、
テキトーに。(笑)
歌詞とスコア付きでご紹介しますよ!
まずは人面の「鼻」から。
しかもさかさまスタートです。
細長いビルは人面の鼻になります。

本当は長方形よりも、上が少しだけ広がった
台形にした方が実物に近くなります。
次にUFOのイメージで「口」を描いたら、
「あごのライン」へ。

UFO(口)とアヤシイ雲(あごのライン)は
近づけ過ぎない方がいいです。
顔の輪郭は山をさかさまに描くようにします。
よく見てゆっくり描くのがオススメですが、
形は気にせず、おおらかに。
その次に紙をひっくり返すので、ここで少し
時間稼ぎをしたくなり…
「行~く~ぞ」という準備の時間を作ってみました。(笑)

準備ができたら絵をくるっとひっくり返し、
いよいよ「目と眉毛」です。
「よこ よこ よこ よこ」のところが
目と眉毛で、まっすぐ線を引く感じで描きます。
ちなみに私の描き順は眉毛(上)の左→右、
目(下)の左→右の順です。

これで、顔は出来上がりです!
あとは好みで「ほほ」を描いたり、手も描いておだんごを持たせたりしてみてください。

ちなみにスマホで一発録りしたピアノ演奏データもあります。(笑)
聴いてみたい方はこちらから。(演奏のみで歌っていません。)
「三次もののけミュージアム」

ここまでくれば、あなたも立派な人面マニアです。(笑)
「妖怪絵草紙」、読んでみたくなりませんか?
「人面草紙」を実物大で見られるうえに、現代語訳と解説、さらに英訳文までもが掲載されています。
とても丁寧に書かれているので、読み応えもあり、じっくりと楽しめる一冊でした。
他に江戸~明治時代の妖怪本も収録され、妖怪好きやアヤシイもの好きな方は必見です。
この本の著者、湯本豪一(ゆもとこういち)先生は民俗学者であり、妖怪研究家でもあります。
湯本先生の妖怪コレクション、4,000点以上が見られるミュージアムが広島県三次(みよし)市にあります。
このミュージアムには肉筆本から玩具までさまざまあるそうで、「妖怪」「もののけ」好きな私は興味津々です。
「人面草紙」の人面たちは妖怪ではないけれども、人間でもないワケで…
ちょっとクセになる不思議なキャラクターたちでした。

どの人面も楽しそうなんですよね。
パワフルな人面たちを見る機会があったら、よ~く観察してみてください。
私もまだまだ人面ウォッチャーを続けます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
私は、歌いました。
ありがとうございました。
「み」さま
歌ってくださったのですね~。(笑)
ありがとうございます。
江戸時代のナゾの「人面」をどうぞ、ごひいきに~。