こんにちは。「まな♪まな」管理人の「えつ」です。
今回は世にも珍しい発酵食品をご紹介します。
その名も「ふぐの子ぬか漬け」です。聞いたことありますか?
ふぐの卵巣といえば猛毒なハズ…!?
さてさて、どんな秘密があって、お味はいかに…?
1.「ふぐの子ぬか漬け」は石川県の郷土料理
「ふぐの子ぬか漬け」は石川県だけでしか製造が認められていない郷土料理です。
(普通のふぐの卵巣は解体するとすぐに「焼却処分」にされるそうですよ。)
世界的にも珍しく「奇跡の発酵食品」「禁断のグルメ」と言われています。
今回、江戸時代から続く老舗「ふぐ糠漬粕漬製造本舗 株式会社あら与」さんの商品を
お取り寄せしてみました。ずいぶん立派な大きさです。
縦が14cm、横幅も最長で9cmもありました。厚みも2~3cmはありますね。
ご存知の方も多いと思いますが、ふぐの内臓や皮の一部(特に肝臓と卵巣)には
テトロドトキシンという猛毒が含まれています。
そんな怖すぎる「ふぐの卵巣」ですが、塩と糠に漬けることで無毒にしてしまう製法が
江戸時代から続いています。漬け込み期間は実に3年間近く。
…って…長くないですか~!?毒はいつ消えるんでしょう?
発酵していく過程で微生物たちが毒を分解してくれる?という説が
あるものの、実態は未だに「ナゾ」らしいですっ!
っていうか~!誰がこんな製法を考えついたんだろう?
そもそもどうして、そんなにしてまでふぐの卵巣を食べようと
思ったのかなぁ。ミステリアスだなぁ。
たしかに~。
初めに作って食べてみようとした人はチャレンジャーだよね。
2.江戸時代から続く調理法
謎に満ちた「ふぐの子ぬか漬け」。その製法を簡単にご説明しましょう。
①ふぐの卵巣取り出して約1年間、塩に漬け込む。
この期間に水分が抜けて固くひきしまるそうです。
②洗った卵巣を木樽に入れ、糠、麹を入れて漬けること約2年。
木樽のふちに「わら縄」を敷いて上から重しをします。この間、わら縄づたいに
石川特産の魚醤(イワシの塩漬け汁「いしる」)を注ぎこんで発酵を促します。
このあたり、「あら与」さんの説明書にはこんな風に。
花に水をやるように、鰯の塩漬け汁を絶えず漬け樽にさして、空気中の悪玉の微生物
株式会社あら与 北前船の寄港地にのみ伝わる、猛毒の卵巣を珍味に変える伝統製法
を遠ざける。2年半から3年で毒が消えることは経験で知っているが、そのメカニズムはいまだに解明されていない。
この「経験で知っている」…という点がポイントですね。
ハッキリとはわからないけど、江戸時代からの実績で安全に作れることがわかっているんだね。ますますミステリアス~。
3.実食!オススメのレシピ紹介
取り出してカットしてみたら、こんな感じでした。
やはり糠のにおいは強めです。チーズ的なにおいも少しするかな…?
(タンパク質の乳酸発酵に共通するにおいなんでしょうか。)
色は茶色がかったオレンジ色。
つぶつぶ感は、たらこよりハッキリしていて口に入れるとプチプチします。
味は、かなり塩気を強く感じますが、後からじんわりと旨味が追いかけてきます。
おいし~っ!お茶漬けにしたら合いますね~。
これはお酒のつまみにもいいし。
さっそく、いくつか作ったものをご紹介しますよ~
①ふぐの子おにぎり
作り方は超シンプル。ごはんに軽くあぶったふぐの子を混ぜておにぎりにします。
中にプロセスチーズを入れるのもオススメ。
梅ひじきのおにぎりも一緒に作っちゃいました。
どちらも混ぜてにぎるだけ。塩は不要で、あっという間にできます。
②ふぐの子納豆
こちらもシンプル過ぎますが、興味にかられて挑戦。
納豆のたれは使わずに、ふぐの子を混ぜました。
「クセの強いキャラクター同士、どうなるの?」と思いましたが…
あっさりおいしく食べられました。ほんの少しだけ、みりんと醤油を足してもOK。
③ふぐの子ペペロンチーノ
~ふぐの子と水菜のペペロンチーノ 2人分~
材料と下準備
- スパゲティ200g
- ふぐの子 20~30g (ほぐしておきます。)
※量は塩加減のお好みで。トッピング用に少量分けても。 - 水菜 1株 (3~4cmにカット)
- にんにく 1片(みじん切り)
- 唐辛子 1本(種を外して輪切り)
- オリーブオイル 大さじ3~4
①お湯を沸かしてスパゲティを指定時間通りにゆでます。
(後でゆで汁をおたま1杯分、使います。)
②フライパンにオリーブオイルを入れ、にんにく、唐辛子に弱火でじっくりと
熱を通す。オイルに香りを移しましょう。
③フライパンにゆで汁を加えてとろみが出てくるまで炒める。
④ゆであがったスパゲティとふぐの子をフライパンに入れ、全体にからめながら
炒める。最後に水菜を加えて炒め合わせる。
⑤器に盛りつけてトッピングする場合には少量のふぐの子や、きざみのりなどを。
おいしかったよ~。
今回はペペロンチーノを作ったけど、クリームパスタもいけるかも~。
4.「ふぐの子かもし漬」も!
実は私が最初に食べたのは友人からの頂き物で、こちらの「ふぐの子かもし漬」でした。
これでもか~!というぐらいに色々な発酵調味料を注ぎこんで作られているようです。
以下、「あら与」さんの商品説明です。
フグの卵巣のぬか漬けを、古市醤油店が醸造する国産丸大豆醤油のもろみに
「株式会社 あら与 ONLINE SHOP ~ふぐの子かもし漬~」より
吟醸酒粕、みりん粕、みりん、酒米ぬか、北海道糖蜜、能登産いしるを調合した漬け床でじっくり寝かせたものです。ぬか漬けに比べて塩辛くないので食べやすく、もろみの風味が移って、さらにおいしさが増します。
これぞ「発酵食品の権化!」みたいな「かもし漬け」ですが
私は大根を薄くスライスした上に乗せて食べました。
♪ワインにもよく合います。
小さな瓶で30gと食べやすい容量なので、「とりあえず試してみる?」
という時はこちらでも。
5.まとめ
- 「ふぐの子ぬか漬け」は石川県だけに伝わる製法で作られた郷土料理。
猛毒を含む卵巣を無毒化することから「奇跡の発酵食品」「禁断のグルメ」
などとと呼ばれている。 - 江戸時代から伝わる製造法を今でも守り続けており、仕上がりまでには約3年の
月日がかかる。さらに毒が抜ける仕組みは、いまだに謎! - 塩気が強いが旨味もたっぷり。ごはんのお供やお酒のつまみにピッタリ。
- 「ふぐの子かもし漬」は少量なので、お試し買いにオススメです。
禁断のグルメ「ふぐの子ぬか漬け」をご紹介しました。
私も今度は現地、石川県で食べたいです。
石川県の発酵グルメは、さらに調査しま~す。ご期待ください。
先人の知恵ってすごいなぁと思うと同時にその好奇心のたくましさにも驚きますね。
なかなか出会うことのない食品を紹介していただいてありがとうございます。