お茶室キッチンカー「路庵」をまだご存知でない方に。
庵主で私の友人、宗香(そうこう)さんがお茶室キッチンカーをデビューさせた記事はこちら。
町田市野津田の古民家「浮輪寮」
今回キッチンカーが出店した「浮輪寮うきわりょう」は町田市野津田町の「農村伝道神学校」内にある古民家をリノベーションした建物です。
再生を手掛けたのは建築家の丸谷博男先生で、
2022年9月に「idea center浮輪寮」としてオープンされました。
芸術関係のイベントや公演、ワークショップなどに活用されています。

雑木林の中にゆったりとたたずむ「浮輪寮」は訪れる人に安らぎを与えてくれる空間です。
建物の手前に見えているのは人工池で、さらにその先には小さな屋外ステージも。
自然との調和を大切にした数寄屋建築と呼ばれる建物です。

それにしても「浮輪寮」って不思議なネーミングじゃない?

もともとは「農村伝道神学校」の女子寮につけられてた名前なんだって。
この女子寮はすでに解体されていますが、名前の由来は1954年の海難事故にありました。
洞爺丸事故(1954年):台風による暴風と高波で青函連絡船が転覆、沈没し、死者行方不明者1155名となった大きな事故がありました。この船に乗り合わせていた「農村伝道神学校」の創立者ストーン牧師は、同乗していた日本人の若者に自分の救命胴衣を与え、52歳で亡くなりました。
丸谷先生はこのエピソードを受け、再生した古民家に改めて「浮輪寮」と命名されました。
「茶箱点前」
さて、今回の「走る茶室」は森和世先生率いる
kazyogaさんの「遠足YOGA」とのコラボレーション企画でした。
下の写真は「遠足YOGA」レッスンでの
ひとコマです。

豊かな里山の自然を眺めながら、ゆったりとした座敷でのヨガレッスン。
皆さん、スタジオでのレッスンとはまた違ったエネルギーを受け取られたのではないでしょうか。
午前のレッスンが終わったところで、走る茶室「路庵」の庵主、宗香さん登場。
今回はキッチンカー出店に加え、ヨガ参加者の皆さんに「茶箱点前」を披露しました。

茶箱を膝前に置き、点前の起源や歴史について解説をする宗香さん。
茶箱とは抹茶を点てるための最小限の道具一式をコンパクトに納めた箱で、千利休が野外でお茶を点てるために茶道具を箱にまとめて携帯したのが起源です。
お湯と茶箱があれば、どんな場所でもお茶がいただけます。
ピクニックのお供にも、連れていけます。
下の写真のように、長い辺が20cmほどの
かわいらしい小箱です。
点前では、この箱の中に小さなお茶道具一式をしまって持ち出します。

今回の「花」と呼ばれる点前では
茶碗、棗なつめ(抹茶を入れる容器)、茶杓(抹茶をすくう道具)がお揃い仕立ての服を着ています。
ミニチュアサイズの道具たちが、お揃いの服まで着ているなんて!
カワイイモノ好きにはたまらない世界観です。
「小さきものはみなうつくし」と清少納言さんも言っておられましたし。
日本人の美意識の一つなのかもしれません。

建築家の丸谷先生との茶道談義に花を咲かせながら、お点前は進みます。
宗香さん、さらさらと進めていますが…
お道具を一つずつ箱から出したり、
服の紐をほどいたり…と
実は細かい手順が必要なお点前です。
道具に着せる服は「仕覆しふく」と呼ばれ、紐を結んで使います。
結び方や、ほどいた後の紐の整え方にも決まりがあり…
私も昔、お稽古で苦労した思い出がよみがえりました。

なかなか覚えられなくて…
「Why Japanese people!?」と叫びたくなるほど苦手だったなぁ。
ここでちょっと脱線しますが、下の写真は濃茶を入れる茶器と仕覆のセットです。
こんな風に中に抹茶が入っている時、入っていない時でも紐の結び方は違います。

お茶をされる方はさらさらとこなされますが、
知らない人々にとっては、まさにイリュージョン!?
思わずポール・モーリアの「オリーブの首飾り」をBGMに流したくなるかも。(笑)
「路庵」で一服
茶箱点前を終え、キッチンカー茶室「路庵RO-AN」に戻った宗香さん。
今回も京都の老舗『松坂屋嘉八本店』さんの”宇治茶”でおもてなしの準備にとりかかります。
釜の湯が少し冷めてしまい、慌てて火吹き竹で炭火を起こしていました。
やはり抹茶を点てるには、お湯の温度が80℃くらいは欲しいところ。

そうこうしているうちに、お客様もぼちぼちといらっしゃいました。
今回、カウンターには盆栽の鉢が。
「和の美」を探求し続ける宗香さんの
新しい試みです。

季節の景色を見せてくれる、小さな鉢の中の樹木たち。
盆栽の表現する「わびさび」の美意識は、
茶道にも通じるものがあります。
お客様から声がかかりました。
「お薄を一服、お願いします。」
「いらっしゃいませ。どのお茶碗でお出ししましょうか?
ご時候にぴったりな「藤」の絵柄のお茶碗はいかが?」

季節感を味わうのも茶道の楽しみの一つですね。
皆さん、まったりとお抹茶を楽しんでいかれました。
浮輪寮はコミュニテイ、表現の場
リノベーションされてから2年半が経過した「浮輪寮」ですが、この間さまざまなイベントが企画、開催されてきました。
落語や邦楽、華道、茶道、日本舞踊など「和」のジャンルはもちろん、音楽、ダンス、ヨガなどの公演やワークショップが行われています。つい先日はオペラの公演もありました。
他に「東京里山環境建築学校」「おはなしの会」や不定期開催のcaféなども。
「浮輪寮」は里山にあるライブハウスであり、コミュニティハウスでもあるのです。
自主企画のイベントや稽古場として利用してみたい方は、こちらからお問い合わせを。
浮輪寮同友会 丸谷博男(HIROO MARUYA)
Mail:h.maruya@a-and-a.net

まとめ
東京都町田市の古民家「浮輪寮」での「癒しのひと時」をお伝えしました。
茶室でなくてもお茶は楽しめますし、今回のようにレクチャーを受けながらのお点前拝見は
新しい形の茶道の楽しみ方かもしれません。
堅苦しいイメージを持たれがちな茶道ですが、わかりやすい解説をしてもらうことで
楽しみ方は限りなく広がりそうです。
かわいい茶箱のお道具たちは
見るだけでも癒されますよ。
今回、お世話になった「浮輪寮」は足を踏み入れることで、パッと異空間へといざなわれるような…そんな不思議な空間でした。
浮輪寮Facebook
丸谷先生が日々、更新されています。

お茶室キッチンカー「路庵 RO-AN」の公式HPがオープンしたよ!
ぜひ、こちらもご覧ください~!
「路庵」公式HP : 走る茶室
コラボ企画でお世話になったkazyogaさん。
美しさと力強さを兼ね備えた森和世先生のFacebookも要チェック!
ビューティヨガニスト森和世オフィシャルFacebook

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ここで、おいしいモノ情報を。
大阪G20サミットのご進物にも使われた粟玄あわげんさんの「和洋」はナッツを生クリームとコーヒーで包み込んだサクサク食感のお菓子です。
パクっと一口で食べられるので茶箱点前にも合いますよ。
手が止まらなくなっちゃうのでご注意を~。
こんにちは。GWの連休はいつも近場でまったりしている管理人「えつ」です。このブログ「まな♪まな」でおなじみのお茶室キッチンカー「路庵」が4月29日、東京都町田市の古民家「浮輪寮」に出店しました。今回はその時のレポートを中心にお届けします。