前回の記事、老舗の種麹屋「菱六」さんを訪ねた話です。
こちらもよろしければお読みください。
1.「轆轤町ろくろちょう」名前の由来
「轆轤町ろくろちょう」は京都市東山区の町名です。
私は種麹屋「菱六」さんに行きたくてこの町へ。
京阪本線「清水五条駅」から北東方面へ向かいます。
徒歩10分程度でたどりつけました。
北東へ進む。
これを京都風に表現してみましょう…
「五条通りをちょっと上がって松原通りを東へいっておくれやす」
アッテルカナ?(笑)
今回の旅では「菱六」さんにしか立ち寄れませんでしたが…
あまりにも珍しい町名だったので由来を調べたくなりました。
すると歴史的な背景がわかってきました。
平安時代、この地域は「鳥辺野とりべの」と呼ばれ、埋葬地でした。
皇族や貴族は火葬、土葬にされましたが、庶民は風葬。
つまり野ざらし…です。
鳥辺野とは風葬された遺体に鳥が群がってきた事からついた名前。
いつも人骨が散乱している一帯だったようです。こわ~。
鴨川の岸辺にも遺体がゴロゴロしていたというから驚きます。
そんなわけで本来の町名は「髑髏町どくろちょう」だったのです!
どくろちょう…!怖すぎ。どっちにしろ字が難し過ぎる。
江戸時代になってから
「さすがにドクロってどうなのよ!」というムーブメントがあり
「じゃ、ロクロにしとこう!」…!?
まぁ、こんなお気楽に決められたかどうかはわかりませんが。
江戸時代に改められたことは確かなようです。
2.この世とあの世の境目?
さらに「菱六」さん界隈はミステリーゾーンであることもわかりました。
ちょっと地図をズームしてみます。
「菱六」さんのはす向かいに、こんな石碑が。
「六道之辻ろくどうのつじ」と彫られています。
「辻」って言うくらいなので道の曲がり角なんですが…
実はココ、この世とあの世の境目…らしいですぅぅぅ…
この「六道之辻」からさらに北東に進むと
「六道珍皇寺ろくどうちんのうじ」というお寺があります。
ここにも不思議な伝説が。
平安時代の役人、「小野篁おののたかむら」という人物がこの寺の裏庭にある井戸から
毎晩「冥府=死後の世界」に通っていたというんですねぇ。
ちなみに小野篁さんは「遣隋使、小野妹子」の子孫であり
美貌で名高い「小野小町」のおじいちゃんです。
歌人でもあり彼の歌は「小倉百人一首」にも選ばれています。
寺の井戸から「あの世」へ…?
京都ならいかにもありそう…
小野篁は冥界で閻魔(えんま)様にお仕えしていたという話が
「今昔物語集」に描かれているそうです。
ちょっと読んでみたくなりました。
「どくろ町」だったことを思うと妙に納得して想像力を膨らませてしまいます。
3.「みなとや幽霊子育飴本舗」
さて、ふたたび六道之辻に戻り、向かい側にあるのが
「みなとや幽霊子育飴本舗」です。
うわ、今度は幽霊かぁ。
店の屋号に「幽霊」って?すご過ぎるぅぅぅ。(笑)
しかも創業450年!?お店の看板が歴史を物語っています。
店前の写真です。
奇をてらうような主張は無く、「ふつう」に存在していました。
屋号のインパクトとは正反対。
よく見ないと気付かずに通り過ぎそう。
店名の由来をWikipediaから引用します。
1599年(慶長4年)に女性が亡くなり埋葬され、数日後にその土の中から子どもの泣き声が
聞こえてきたので掘り返すと、亡くなった女性が産んだ子どもであった。
ちょうどそのころ、毎夜飴を買いに来る女性があったが、子どもが墓から助けられたあとは
買いに来なくなったので、この飴は「幽霊子育ての飴」と呼ばれるようになった。
その時助けられた子どもは8歳で出家し高僧となった、とのことである。
亡くなったお母さんが幽霊になって我が子のために飴を買いにくる話。
「まんが日本昔ばなし」でも見たことがあるような?
母親の愛情と、もの悲しさと…ちょっとコワさもあります。
1599年…って考えてみたら「関ヶ原の戦い」の前の年じゃないですか。
妙にリアルな設定ですね。
4.まだまだ見どころはたくさんある轆轤町
不思議スポットを中心にご紹介しましたが、まだまだ行ってみたいところは
たくさんあります。
空也上人(くうやしょうにん)でおなじみの「六波羅蜜寺ろくはらみつじ」です。
すみません、空也上人の画像がないので蛙君のコスプレで。
歴史の教科書に必ず載っていた「空也上人立像」…インパクトありました。
ここで出会えますよ。
「六道之辻」を「下がる(南へ行く)」とすぐ到着します。
951年(天暦5年)の創建ですからこちらも歴史あるお寺ですね。
この時代、疫病が大流行してたくさんの死者が出ました。
空也上人は疫病退散の祈願と、葬られた庶民たちの霊を慰めるために
この寺を建てられたそうです。
空也上人が自ら彫られた「十一面観音立像」は国宝です。
12年に一度、「辰年」だけの御開帳みたいですよ。
次は2024年ですね。お目にかかれるかな?
他にも通りを歩いていると雰囲気のあるお店が目につきます。
「みなとや幽霊子育飴本舗」のすぐ近くにあるカフェ「SAGAN」
営業時間が8:00~18:00です。(2022年9月現在)
こんなオシャレなカフェで朝ごはんもいいですね。
自家製パンや無添加素材など、こだわりのあるお店みたいです。
「SAGAN」のお隣にこんなお店も。「榊原神具店」
たたずまいを見ただけで説得力を感じましたよ。
京都のお店って楚々とした店先が多いように感じます。
ぱっと見「あれ、やってるのかなぁ?」と迷うことも。
これって歴史に裏打ちされた自信なんでしょうか。
「ご存知やったらどうぞ、お買いやす」みたいな京都プライド?
やっぱり一見(いちげん)さんにはキビシイ町なのかなぁ?
でもそんなところも含めて京都は大好きです。
歴史や文化を勉強しながら、また訪れたいと思います。
5.まとめ
- 京都市東山区「轆轤町ろくろちょう」はその昔「髑髏町どくろちょう」と呼ばれていた
歴史があります。 - この一帯は「鳥辺野とりべの」と言い、平安京の埋葬地でした。
そんな経緯から「この世とあの世の境界線」との伝説が。 - アクセスは京阪本線「清水五条駅」から徒歩10分程度。
路地を歩くと歴史あるお店、寺院が点在しています。 - 轆轤町観光のオススメ
①「菱六」もやし(発酵好きな方は是非!)
②「みなとや幽霊子育飴本舗」
③「六波羅蜜寺」
④「六道珍皇寺」
歩き疲れたら、カフェ「SAGAN」で休憩
私も次回はじっくり「轆轤町ろくろちょう」を探訪したいです。
京都には不思議な町名がまだたくさんありそうですね~。
やっぱり歴史ある町だなと実感しました。
水木しげる先生は幽霊子育て飴のエピソードをオマージュして
「墓場の鬼太郎」⇒「ゲゲゲの鬼太郎」を作られたとか。
京都の町にも「もののけ」はたくさんいそう。
こんにちは!京都好きな管理人「えつ」です。
前記事で書いた京都東山「轆轤町ろくろちょう」の地名が気になって調べて
みました。ふらっと訪れましたが、実はすごい場所だったみたい…!
地名の由来や言い伝えなど、さすが京都!というエピソードがたくさん
見つかりました。東山方面に出かける方は是非参考にしてください。
行ってみたくなる話をご紹介しますよ~。