神保町「未来食堂」で見たレトロな光景

未来食堂アイキャッチ
えつ

こんにちは。管理人の「えつ」です。
先日、神保町に用があったついでに以前から気になっていた「未来食堂」に
行ってきました。色々なメディアに取り上げられた話題の定食屋さんです。
そのユニークな経営方法についてご紹介しますよ。

未来食堂案内版
店先にある「未来食堂」の案内板

1.「まかない制度」と「ただめし券」

2015年に開業した未来食堂は神保町駅の近くにあります。
「小林せかい」さんという女性が経営者です。

興味持った理由は何と言ってもその運営システム。
こういう発想…なかなかできないなぁ…と思いました。
それは「まかない制度」と「ただめし券」です。

「まかない」制度
店の仕事を50分手伝うと、一食分が無料になる「ただめし券」がもらえます。
もちろん、いきなり行って働けるわけではなく、事前の申し込みが必要です。
さらに面白いのは自分で食べるもよし、誰かのために「ただめし券」を
置いて帰るもよし。

なすのごとく

誰かのために置いていく!?「利他の心」…?
「働くことの意味」ってなんだろう?って考えさせられるな。

ただめし
入り口壁に、ただめし券を貼っています。誰でも使えます。困ったときは使って下さい。未来食堂には、50分のお手伝いで一食もらえる”まかない”制度があります。ただめし券は、”まかない”をした誰かが、自分が食べる代わりに置いていった一食です。

「未来食堂 公式サイトより
ただめし券

確かに。店の入り口付近に小林さんのメッセージと共に
「ただめし券」が何枚も貼ってありました。

「困った時に使ってください」というメッセージと共に
「出きることなら、今日のあなたは貼る側であって下さい。」とも。

このあたり、バランスが難しいのかもしれませんね。
誰かの一食分を助けることができる「ただめし券」ですが
もらいに来る人のバックグラウンドはさまざまだと思います。

本当に困っている人なのか、それともただのひやかし?
困っている人は毎回「ただめし」を食べるだけなのか…?

「貼る側になれるように」とは店主からの強制ではなく、
お願いでもなく、「静かな励まし」のメッセージのようです。

2.ランチは「日替わり定食」1種類だけ

「まかない」の人がいるかなぁ…と思いながら店内に入ると、小林さん一人で
きりもりしていました。基本はこのパターンなんでしょうね。

店内、こんな感じで「コ」の字型のカウンター。
一列に4人ずつ座れます。つまり12席。
店員(=店主)1人でも、効率よく調理や配膳ができるようになっています。

店内見取り図
右側にも4人分の席があるので12席


「いらっしゃいませ」と出迎えられて着席。あっという間にお膳が出てきました。
ランチタイムは日替わりメニューが1種類だけなんです。
だからお客さんが座ったらすぐに配膳の準備にとりかかれるというワケ。

えつ

めっちゃ、合理的。
もしかして理系のヒト?

やっぱり、そうでした。
東京工業大学理学部数学科卒業。大手企業でITエンジニアをしていたという経歴の持ち主。
彼女の著書で見つけて妙に納得。


さて、この日のメニューはこんな感じでした。
「ごはんとお茶は自分でよそってください。おかわりは自由です。」
とリケジョ様からのアナウンス。

今日の定食

忍者のような素早い動きと早口コメントに、やや緊張。
「えっ?なんですか?」とか聞き返す時間のゆとりはありません。
小林さん、すでに次のお客さんに向けてアクションを起こしていました。(笑)

3.「未来」の中のレトロ感?

キョロキョロ見渡すと、すぐ近くに「おひつ」とポットがありました。
久し振りに「おひつ」を見ましたねぇ。中は「きのこごはん」です。

木のお椀と湯吞みがカラだったので、ちょっと悩んだ末に木のお椀の方に
ごはんを盛り付けました。(笑)

湯呑は紺色に白の水玉。昭和レトロな湯吞み茶碗とも懐かしの再会です。
これってよく見るとかわいいデザインですよね。

おひつと水玉の湯呑茶碗。やかんはありません(笑)


水玉湯呑にお茶をくんだところで、また周りをキョロキョロ。

この時のお客さんは私の他に6人。平均年齢は60歳を超えてるもよう。
私を含めて皆さん「初来店」のようです。

えつ

皆さん、やや緊張気味の様子でした~。(笑)

小林さんは相変わらず「分身の術」のごとくシャカシャカ動き、まんべんなく
お客さんに声かけしています。

なすのごとく

常連さんになると「声かけ」のタイミングも図れるようになるのかな。

お隣さんと「おひつ」をシェアするスタイル。
なんとなく昭和の家庭風景を思い出しますよね。

味付けは濃過ぎず、ヘルシーなメニューです。おいしくいただきました。
ごはん、おかわりしちゃいました。

食堂の店内カウンター
店内のカウンターとキッチン

4. 2回目以降は100円引き

これも面白いな~と思ったんですが、初回の来店者は代金900円を支払います。
支払うと小林さんが次回以降の割引券を渡してくれます。
次回以降はこの券を提示すれば800円で食べられるという仕組み。

次回からの割引券
手作り感でいっぱいの割引券

ちゃんとパウチングしてあるので、持ち歩いてもクチャクチャになりません。
「いつでも」「何度でも」「お連れ様も」と書かれています。
全部手書きモードです。

そう言えば店内のポスターや案内も全て手書きを意識してありました。
ITエンジニアだった彼女が「デジタル仕上げ」にはしていないところに
メッセージ性を感じますね。

そうそう、お客さんが1000円札で支払うことを想定してコップにおつり用の
100円玉がたくさん入れてありました。
これでお客さんが自分でおつりを取れるという仕組み。
さすがリケジョ!

5.アクセスと著書のこと

未来食堂へのアクセスです。こちらの地図で確認してください。
日本教育会館の地下1階です。 

日本教育会館

正面入り口の左側に「Restaurant」の入口があります。
階段を降りるとすぐに案内板があって、すぐにわかりますよ。

最後にもう一つ。店内に小林さんの著書が置いてありました。
すでに3冊を出版。
もちろんここで購入もできるようです。

著作の販売コーナー

えつ

ユニークな定食屋のシステムを考えた経緯や人生について思う事。
独自の視点、発想で書かれています。私も勉強させてもらおう。
自分の強み、見つけられるかな。