1.酒粕には種類がある
11月から3月にかけては新酒の季節。
清酒の搾りかすである酒粕もこの時期に多く出回ります。
ふだんよく利用しているのはこちら。
スーパーでもよく見かける「八海山」の酒粕です。
「酒がいいから酒粕がいい」
自信あふれるキャッチコピーが目を惹きますねぇ。
「八海山」はブランド力のあるお酒だしね~!
ペースト状の「練り粕」だからすぐに使えてラクチン。
コクがあっておいしい酒粕です。
酒粕は、板状(板粕)かバラバラの状態(ばら粕)で売っていることが多いです。
これらのタイプを料理で使う時には水や酒でふやかしてから使います。
「練り粕」は冬に出来た酒粕を夏越して熟成させて作られます。
そのためコクがあり、色もうすいオレンジというか茶色味を帯びています。
酒粕には3種類あるってことね。
それぞれ作り方と仕上がり感が違うんだね
そういうこと。製法と形状によって違いがあるんです。
「かす」と呼ばれるけど、むしろ栄養素は酒粕の方にたくさん
含まれてるんですよ~。
2.酵母液を作ろう
便利な練り粕ですが…
今回は酵母を起こすのが目的なので使いません。
なるべく搾りたてで酵母が元気な酒粕は…これ!
「寺田本家」の「醍醐のしずく」
これは「ばら粕」だね!
「寺田本家」は千葉県香取郡にある創業340年以上の歴史ある酒蔵です。
無農薬米、手造りの製法にこだわったお店で、蔵見学や発酵イベントの
企画もされています。
「醍醐のしずく」だなんて…なかなかドラマチックな名前。
ワインのようなフルーティなお酒…らしいですよ。
飲みやすそうなタイプ…!?
このお酒を搾った酒粕なのね。
元気な酵母がたくさんいそう。
さっそく酵母を起こします。
作り方は簡単です。
煮沸消毒したガラスビンに酒粕を入れ…
ビンの8~9割まで浄水を注いでから、清潔なスプーンでよくかき混ぜます。
毎日2~3回フタを開けてかき混ぜる作業が3~5日間です。
初めの内は水と酒粕が分離していますが、
2日以降はこんな風に一体化してきます。
3日目には右の写真のようにブクブクと泡が立ってきました。
泡が出て反応が見られるようになってくると…
なんだか楽しくなってきます。
時々、ビンをゆすってみると「パチパチ」と言いながら盛んに泡が。
酵母に「元気だよっ」って言われている気分。
言葉の無い会話っていうか…テレパシーで通じ合うような感じ?
5日間かけて酵母液の出来上がりです。
3.3日間でパンの元種作り
出来上がった酵母液に小麦粉を加えてパンの「元種」を作ります。
生地の元にもなります。
酵母液と小麦粉を同量ずつ加えて、塩をひとつまみ。
塩を少量加えるのは腐敗菌の繁殖を抑えるためです。
よくかき混ぜて清潔なガラスビンへ。
混ぜた直後はけっこう生地が重たくてもっさりしていました。
1日に2~3回かき混ぜます。
次の日も同量ずつの酵母液と小麦粉に塩を加えてかき混ぜます。
だんだんとゆるめのテクスチャーになってきます。
これを3日続けて「元種」の完成です。
気温が低いせいかブクブクと泡立つことはないものの
時々「こぽっ」と泡立つ瞬間が見えたりして、
楽しい観察タイムでした。
4.生地をこねてまた発酵
「元種」ができたので、いよいよパン生地作りがスタートです。
すでにここまでで1週間経ってるよ。
天然酵母でパンを焼くのには時間が必要なんだね。
確かに、時間はかかりますね。
でも特に手間がかかるわけではありません。
時々かき混ぜて酵母のご機嫌をうかがうぐらいです。
小麦粉と「元種」、水、塩、砂糖を加えて生地をこねました。
ここからまた生地の「おねんねタイム」、一次発酵です。
室温では6~7時間もかかりそうなので、ここは発酵器にお任せ。
ヨーグルティアで「27度-4時間」の設定にしました。
容量が大きくないので、せいぜい生地が500gが限界ですね。
発酵することで大きさがこんなに変わります。
2~2.5倍にふくらんだくらいが一次発酵の目安です。
ここから生地の分割をして「ベンチタイム」
(20~30分生地を休ませる)
成形してから「二次発酵」
…またまた「おねんねタイム」が1時間~1時間半
ゆっくりと1つずつ作業が進んでいきます。
二次発酵はオーブンの「発酵モード」を使って30度で90分。
ようやく焼けるまでにたどり着きました。
5.焼き上がり
こうして振り返ると本当に時間がかかっています。
ここまで到達すると、うれしさでいっぱいですね。あとは焼くだけ!
いい匂いが漂いはじめた室内でワクワクしながら焼き上がりを待ちました。
あんぱんをメインに作りましたが、他にもいろいろと焼いてみました。
そうそう、こんな面白い型もあったので…
スヌーピーの顔型食パン!(笑)
パン型とビニール袋が「cottaコッタ」というショップで売っています。
今回はラクラクの「スヌーピー顔付きビニール」を買いましたが、
チョコペンを使って自分で顔を書くのも楽しそうですね。
酒粕酵母で焼いたパンはクセの無い、優しくてもっちりとした焼き上がりでした。
酵母が元気なうちにもう1回作ってみたいな。
「cotta」のネコ型ぱんも楽しそうですよ。(笑)
「寺田本家」さんの発酵料理本もオススメです!
こんにちは。「まな♪まな」管理人の「えつ」です。
寒くなり酒蔵では新酒を搾る季節になりました。
いい酒粕さけかすも手に入りやすくなります。
そこで今回は酒粕から酵母を起こしてパンを焼いてみました。
酒粕酵母で焼くパン、どんな味でしょう?