1.アフロな姐(ねえ)さん、稲垣えみ子さん
稲垣えみ子さんはアフロヘアーがトレードマークのフリーランサーです。
フリーランサー:会社や組織に所属せず個人で仕事を請け負う人
どんな経歴の方なのか、著者紹介文を読んでみましょう。
稲垣えみ子
1965年、愛知県生まれ。一橋大学社会学部卒。朝日新聞社で、論説委員、
「老後とピアノ」著者紹介文より抜粋
編集委員をつとめ、2016年に50歳で退社。以来、夫なし、子なし、冷蔵庫なし、
ガス契約なしの「楽しく閉じていく生活」を摸索中。
「朝日新聞の記者」というすばらしいキャリアを惜し気もなく捨て50歳でフリーランスの道へ。
以降のミニマリストな生活ぶりも興味深いです。
今どき冷蔵庫なしでの生活って…!?
「言うは易く行うは難し」ですよね。
でもそれをさっさとやってのけるのがアフロ・えみ子サマ。
なんて潔い生き方をする人なんだろう、と思っていました。
思い立ったら即、行動。
そんなわけで私の中では勝手に「アネゴ」に認定。
「えつ」が描いた「アフロ・えみ子画」がコレだよ。
ボクと同じ顔に見えるんだけど。
ご本人のお写真はこちらからどうぞ。AERAdot.「稲垣えみ子」に関する記事一覧
新聞記者時代は高給取りで、お金をじゃんじゃん使うことでストレスを解消していたそうです。ところが香川への転勤で生活が一変。
時間とお金のバランス感覚に目覚め、その後の生き方を変えることに。
詳しくは、著書「魂の退社」で。
1965年生まれなので私よりもひとつお若い!
だけどアネゴと呼ばせていただきたい!
ついて行きます!(笑)
確かに、我々はすでに「初老」の年代です。
人生を折り返していることは間違いないでしょう。
気になるタイトル「老後とピアノ」の中味はどんな?
2.ピアノレッスンが嫌いだった子供時代
子供の頃、ピアノのレッスンが嫌いだった人はけっこう多いのでは?
稲垣さんもご多分にもれずその中の1人でした。
私もそうです。
ピアノってレッスン日以外の自宅練習がモノを言います。
子供のレッスンはたいてい週1回ですが残りの6日間、家で練習を積み重ねられるかどうかで上達が決まるんですよね。
レッスン前日に慌てて30分練習するより、毎日5分の練習を6日間する方が上達します。
えみ子サマ、この練習を「辛気臭い」と感じていたそうです。
わかるわぁ。地道すぎるんですもん。子供にとって。
加えて「昭和あるある」なピアノの先生の存在。
えみ子サマ、当時を振り返ってこんな風に。
ピアノの先生は、そんなやる気のない生徒にひたすら恐ろしかった。
「老後とピアノ」~40年ぶりのピアノ~ より
つっかえつっかえ弾く横で、うら若き女先生の美しい顔はたちまち
般若(はんにゃ)の面となった。
これ見よがしにつく般若のため息のデカさといったらなかった。
宇宙の果てまで吹き飛ばされるほどであった。
つまりはピアノをめぐって楽しいことなんて本当にほとんどなかった。
なんだか目に浮かびます。私もこれに近い経験、たくさんあり。
前週に注意された指使いが直っていないと手をピシャリ!とたたかれることもザラにありましたよ。
昭和な光景ですよね~。
コワイ思いをしたくなければ練習するしかない!? (笑)
子供扱いしない、真剣勝負です!という点では理解できます。
きっと先生ご自身が厳しいレッスンを受けていらしたからなんでしょうね。
3.全身全霊、アネゴのエネルギーに感服
こんなブラック?な思い出を残しつつも、稲垣さんは「いつかまたピアノを弾きたい」
とずっと思い続けていたそうです。
音楽雑誌への連載企画もあり、「若きイケメンピアニスト」米津真浩氏に師事することに。
(いや、ホントにイケメンですね~。HP参照!)
ピアノとの再会を「私はとんでもない鉱脈を見つけてしまった」と表現。
子供時代、発表会で弾いた「きらきら星変奏曲(モーツァルト)」からスタート。
ショパン、ベートーヴェン、ドビッュッシー…次々と名曲に挑戦していきます。
40年以上のブランク、体力や脳力の衰えとも戦いながら…
なんと毎日2時間の練習を欠かさず続けたという、その熱量。勤勉さ。
いやいや感服しました。
しかも上達に向けての細かい分析、調査、フィードバック…
これが半端ないのです。
やはり「大人になってからの学び」って、真剣ですよね。
誰かに「やらされている」のではなく「自らやりたい」からなんです。
すでに人生を折り返していますから
「残された時間は多くない」という自覚あり。
これも大きいです。
やりたい事を今やらないで、いつやるの?徹底的にやろう!
そんなアネゴからのメッセージを受け取りました。
4.えみ子姐の「老後」語録
果てしなく努力を重ねていく稲垣さんですが、重たくならずスルッと読ませてくれるところが彼女の持ち味、すばらしさです。
ここで彼女の「ぼやき語録」をいくつか引用してみます。
体力も視力も聴力も脳力も、もう十分ダメダメな今この瞬間が
「老後とピアノ」~プロローグ~
間違いなく「ピーク」という人生下り坂の恐ろしすぎる現実。
つまりはどこをどうとっても全くもって絶望的。
これはもう修行あるいは拷問の類である。
若者は目標を高く持ち、そこに向かって進んで行けばよし。
「老後とピアノ」~老後とピアノ~
でも老人は違う。
遠くに目標は持たず、今目の前にあるミクロのことに全力をかける。
野望を持たず、今を楽しむ。
こんな風に老いを自覚し、自らを「老人」と連呼するえみ子サマ。
実際にはまだまだお若いんですが、悟りを開いて「老いの境地」に?
この「ぼやき語録」こそ、同志への励ましなのかもしれません。
肉体は老化しても精神力はまだまだ成長できる!
そう思えば頑張るパワーが湧いてきます。
「今、この時に集中する」って、なかなかできていないかも。
日々、心がけたいと思います。
5.たどりついた世界観は?
そして1年半後。えみ子サマはついに「発表会」の日を迎えます。
もちろんここに至るまで、さらなる精神的な葛藤がありました。
まぁ、誰しもそうですよね。
プロでも本番を前にすればナーバスに?
この経験を通しての稲垣さんの気付き。
それは「自分と向き合う」ことでした。
本番でミスをし、立ち往生するんじゃないか…
今までの努力が無駄になる…?
自分で作り出すネガティブな思いや雑念との戦い。
そして彼女がたどりついた世界観は?
是非、彼女の言葉にふれてみてくださいね。
「ピアノ」に限らず、生き方を示してくれる一冊です。
トシと共に衰えてダメダメになったって、いいじゃないか。
誰かが評価してくれなくたっていいじゃないか。
ただ目の前のこと、「今」を楽しんで生きよう。
そんなことに気付かされます。
プロローグの締めの言葉も心に響きました。
「私と同様に老いの冒険へ漕ぎ出そうとしている全ての方に捧げたいと思います。」
人生の後半戦を「老いの冒険」と名付けたセンスがいいですネ。
私もやりたい事には挑戦しつつ…「老いの冒険」を楽しみたいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
こんにちは。「まな♪まな」管理人「えつ」です。
今回は私の大好きなフリーランサー稲垣えみ子さんのエッセイ「老後とピアノ」をご紹介します。50代後半からピアノに再挑戦する稲垣さんの奮闘の日々がつづられています。ピアノを習っていた人、大人になった今から始めたい…と思っている人にも是非お勧めしたい一冊です。