武蔵小金井「三光院」で精進料理をいただく

三光院のアイキャッチ
えつのイラスト
えつ

こんにちは。管理人の「えつ」です。
先日、友人に誘われ、東京都小金井市
の「三光院」というお寺で精進料理を
いただきました。
皇室ゆかりの寺院に伝わる、日本で
唯一の精進料理の数々をご紹介します!

「竹之御所流精進料理」と三光院

東京都小金井市にある「三光院」は臨済宗
の尼寺です。

京都、嵯峨野の尼門跡寺院
「曇華院どんけいん」に伝わる精進料理
を日本で唯一 受け継ぐお寺でもあります。

臨済宗 泰元山 三光院

曇華院は「竹之御所たけのごしょ」とも
呼ばれ、天皇家の皇女や公家の息女が、
代々住職を務めてこられたお寺です。

この尼宮さまにお出しするために作られて
いたのが「竹之御所流精進料理」というわけ
です。

キャラクターなすのごとく
なすのごとく

宮中の雅さと禅の心「わびさび」を併せ持つ精進料理なんだって。

その歴史は室町時代から続き、680余年!

歴史ある食文化の後継者として、三光院で
料理長として腕を振るっていらっしゃるのが
西井香春先生です。

西井香春先生
16歳で単身渡仏、フランス料理を学び40歳
で帰国。帰国後はフランス料理の教室運営や
テレビにも出演。尼僧として精進料理の道に
進んだのは50歳を過ぎてから。

この三光院への最寄り駅はJR中央線
武蔵小金井駅で、北口から徒歩15分ほどの
距離にあります。

こちらが三光院の入り口、山門の風景です。

三光院の山門

右手に見えるのは枝垂れ桜、
左手前には「不老門」の置き石が。

不老門
この門を通れば不老に?

この門の先には、どんな世界が
待っているのでしょう?

門をくぐり抜けると重厚な本堂と、新緑の
木々やアジサイの花々が出迎えてくれました。

その奥に「十月堂」という大きな建物があり、
こちらで精進料理をいただきます。

お茶ではじまりお茶で締められた精進料理

お食事は12時にスタートします。
この日の来訪者は30~40人ほどでしょうか。

テーブル分かれ、椅子に着席していただきます。

初めに登場したのは、なんと!
かわいらしい最中でした。

1.薄茶と最中

お薄と最中

最中の皮には三光院の寺紋「笹りんどう」
の模様が刻まれ、中身はこしあんに大徳寺納豆が一粒。

提供する直前に中身を詰めるそうで、
おかげで皮はパリッパリ、香ばしさ満点です。

ちなみに大徳寺納豆は、京都の伝統食品で、
黒豆を麹菌で発酵させた塩辛い保存食です。

この塩辛さが、あんこの甘味を引き立てて
くれるんですね。

「まずは一服」のおもてなしをいただいての
スタートです。

2.お煮しめ

煮しめ

きりっとした盛り付けで「お煮しめ」の皿が
登場。
これは…完成された造形芸術…!?

なぜか私は「ひな人形」の凛とした
たたずまいを思い出しました。

気品のある静けさ、おだやかさを
感じたせいかもしれません。

海苔巻き仕立ての大和芋が絶品で、
中心にある練わさびが、ピリリといい仕事を。

ごぼうのごま和え、高野豆腐もオドロキの
柔らかさでした。

3.煮梅

煮梅

次に登場したのは、なんと「煮梅」でした。

しかも砂糖と醤油で梅をゆでただけ!?

お箸がすっと通る柔らかさで、口に
入れると梅の実がほろほろとほどけ、
さわやかさと甘さが広がりました。

これが醤油と砂糖で…?

「竹之御所マジック」と呼びたくなって
きました。

次に豆腐の料理が2種類、続きます。

4.インドのうさぎ

豆腐二種

オーバル型に盛り付けられた豆腐と、
そばに添えられたアジサイの花。

繊細さを感じるこの料理は、仏教説話
に登場するウサギをモチーフに命名されたそうです。

施しものを持たないウサギが飢えた老人
のために、自らを犠牲にして火の中へ飛び込む
お話でした。

ひと口いただくと、クリーミィさと優しい甘さのとりこに。

「竹之御所マジック」はまだまだ続きます。

5.香栄とう富 こうえどうふ

先代の香栄禅尼の考案された料理で、
水切りして西京味噌に漬けた豆腐を、
さらに桜のチップで燻製にしたものです。

和製チーズとも呼べる、オシャレな
一品で、お酒にもよく合う味でした。

6.おなすの木枯らし

ナスの木枯らし

揚げなすの田楽。田楽だから「おでん」
呼ぶのはわかりましたが、「木枯らし」とは?

「木枯らし」は、かの建礼門院ご愛用の
琵琶の銘で、なすの半身の形を琵琶に
見立てて命名されたそうです。

建礼門院と言えば、壇ノ浦の戦いで、
幼いわが子、安徳天皇と共に海へ
身を投げられた、あのお方ですよね。

そんな悲劇的な彼女の運命とは裏腹に、
ふわトロ状態の「なすの木枯らし君」は
西京味噌と極上のハーモニーを奏でるので
ありました。

7.ひと口吸物

吸物

出汁は昆布のみで、時間をかけて
ゆっくりと煮出すそうです。

たっぷりの時間と手間をかけた、
ぜいたくなお吸い物。

やはり、不老門の奥に広がる世界は
「時短」や「タイパ」、「映え」や
「盛り」とは無縁なのでした。

8.粟麩あわふのおでん

精進料理にお麩の料理はつきものですが、
ここで山椒味噌をかけた粟麩の田楽が登場。

粟麩のでんがく

これまた、ふわっふわでおいしいこと。

そういえば境内に大きな山椒の木が
ありましたっけ。

9.にゃくてん

にゃくてん

こんにゃくの天ぷらなんて、初めてです。

コリコリとした食感がやみつきになりそう!

やさしい味付けの料理が並ぶ中、醤油とからし
のきりっとした味わいが、新鮮でした。

10.新生姜のおばんと香の物

「おばん」とは宮中言葉で「ごはん」
のことだそうです。

香の物は白菜、お出汁に使った
昆布の佃煮と梅干し。

京都の老舗、一保堂のほうじ茶もおいしくいただきました。

生姜のおばん

11.すすり茶

茶碗に直接、玉露の葉を入れ、お湯を注いで持ち出されます。

すすり茶

フタをしたまま、味と香りが立つのを待つ、
ぜいたくなひと時。

フタは茶こし代わりにもなり、フタを
向こうへずらしてお茶をすすります。

器は亀甲模様に鳳凰の柄、
茶たくは錫すずの素材。
おもてなしの心は最後まで続きました。

食事を終えて

改めて振り返ると、お食事と一緒に薄茶、
ほうじ茶に玉露と、3種類ものお茶をいただきました。

ひらめいたえつのアイコン
えつ

あ、実は伏見の般若湯も
いただいています。
なんとぜいたくな~。

どのお料理も出される直前に調理されるので、
作りたてのおいしさを味わえます。

ここが多くの精進料理とは違う点かも
しれません。

簡素な精進料理でありながら、きめ細やかな
心遣いやおもてなし。
それこそが「竹之御所流」なのでしょう。

食後に、香春先生と直接お話できる時間が
ありました。

集合写真

お料理をいただいた感想などをお伝えすると、
こんなお答えが返ってきました。

「多くの場合、料理人は料理に『自分』を
乗せたくて、いろいろと手を加えるんです。」

自分とは?
自分の技術やセンスを披露したくなる気持ち
でしょうか。

誰しもそんな承認欲求があるハズ。

そんな執着を捨て、無私の心で淡々と料理を
作り続けてこられた歴史を感じました。

再びうかがえるご縁を願いながら、お寺を
後にしました。

さいごに

今回ご紹介した「三光院」の公式HPはこちらから。
臨済宗 泰元山 三光院

香春先生の著書「はじめてのおそうざい精進」
では大和芋の海苔巻きも掲載されています。
作りやすいおそうざいが満載ですよ。

実は今、この貴重な精進料理が存亡の危機
に立たされています。
ぜひ、こちらのページもお読みください!
三光院竹之御所流精進料理と文化を守る会

さらに、自分たちで竹之御所流精進料理にも
挑戦した「茶道と華道を楽しむ会」の記録も
ぜひご覧ください。

きりっとしているえつのアイコン
えつ

「まな♪まな」ブログではおなじみの
「走る茶室」宗香さんが主宰する会です。

キャラクターなすのごとく
なすのごとく

最後までお読みいただき
ありがとうございました♪